プレカリアートユニオンと、元組合員の宮城史門(前田史門)氏及び同氏らが結成したDMU(デモクラティック・ユニオン。その後、DMU民主一般労働組合、DMU総合研究所等に名称変更)との間では、複数の裁判・労働委員会事件がありました。主要な結果を整理します。
宮城史門氏及びDMUとの裁判・労働委員会事件に関しては、こちらのQ&Aもご参照ください。
裁判の結果
1.拠出金返還等請求事件――地裁・高裁とも宮城氏の請求を棄却
宮城氏は、プレカリアートユニオンが元勤務先との和解を本人の意思に反して成立させた、組合にアルバイトとして雇用されていたのに違法に懲戒解雇された、解決金から納入した拠出金は弁護士法72条に違反する非弁行為によるものだ、などとして、慰謝料や拠出金の返還を請求しました。
東京地裁は2022年5月24日、宮城氏の請求をすべて棄却しました。判決は、宮城氏が元勤務先との和解に自ら参加し成立させたこと、プレカリアートユニオンから「行動費」が支払われていたとしても、指揮命令下で労働していたとは認められず、直ちに雇用関係があったとはいえないことなどを認定しました。
また、労働組合が組合員のために使用者と団体交渉を行い和解を成立させることについて、弁護士法72条の「法律事務を取り扱う」ことには当たらないとして、宮城氏の非弁行為との主張を退けました。
宮城氏は控訴しましたが、東京高裁は2022年12月15日、「本件控訴を棄却する」と判決し、一審の結論を維持しました。
2.DMU・宮城氏に対する名誉毀損訴訟――高裁でも損害賠償責任を認定
DMUの公式ホームページやTwitter等には、プレカリアートユニオンが反社会的勢力と関係している、差別を行っている、解決金を「ピンハネ」しているなど、組合や役員の社会的評価を低下させる多数の投稿が行われました。
これに対する名誉毀損訴訟では、東京地裁に続き、東京高裁も2023年3月8日、宮城氏らの責任を認め、プレカリアートユニオン及び役員らへの損害賠償を命じました。 その後、この判決は確定しています。
3.DMUによる東京都労働委員会申立て――救済資格なしとして却下
DMUは、プレカリアートユニオン及び清水直子を被申立人として東京都労働委員会に不当労働行為救済を申し立てました。その後DMUは解散を決議し、宮城氏を清算人に選任しました。東京都労働委員会は2023年11月21日、資格審査の結果、DMUは労働組合法2条に適合せず、労働組合法上の救済を受ける資格を有すると認められないとして、申立てを却下しました。
以上のとおり、宮城氏らとの争いでは、拠出金返還・雇用関係・非弁行為等の主張が裁判で退けられたほか、DMU・宮城氏によるインターネット上の投稿について名誉毀損責任が認定され、DMUによる都労委申立ても救済資格なしとして却下されています。
関係資料
都労委平成31年不第20号事件
DMUデモクラティック・ユニオン(前身はデモクラティック・ユニオン、その後DMU民主一般労働組合、DMU総合研究所と名称変更。清算人は宮城史門氏)による、プレカリアートユニオンと執行委員長の清水を被申立人とする東京都労働委員会の不当労働行為救済申立は、救済資格なしとして却下。
令和4年(ネ)第713号 不法行為に基づく損害賠償請求控訴事件
DMU総合研究所(DMU民主一般労働組合から名称変更)と宮城史門(前田史門)氏に対する名誉毀損訴訟で、東京地裁でのプレカリアートユニオンの勝利判決に続き、2023年3月8日、東京高等裁判所でも地裁判決を維持、勝利判決が出されました。その後、この判決が確定しました。
令和4年(ネ)第3376号 不法利益返還等請求控訴事件
元組合員宮城史門(前田史門)氏がプレカリアートユニオンに対し拠出金の返還を請求した訴訟で、5月24日に東京地裁でプレカリアートユニオンが勝利、12月15日に東京高裁でも勝利しました
2022年5月24日、東京地方裁判所が、元組合員の宮城史門(前田史門)氏が、プレカリアートユニオンに対して拠出金の返還などを請求していた訴訟において、プレカリアートユニオン側の勝利判決を言い渡していました。原告の宮城氏の主張をすべて退け、「原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」とする判決です。代理人は、東京法律事務所の井上幸夫弁護士、平井康太弁護士です。これについて宮城氏が、東京高等裁判所に控訴していましたが、12月15日、東京高裁で「本件控訴を棄却する。控訴非常は控訴人の負担とする。」とする、プレカリアートユニオン側の勝利判決が出されました。
地裁判決では、宮城氏が元雇用主であった2社との間で「意に反する内容の和解を成立させ」「精神的苦痛を与えた」と主張し、慰謝料を請求していることについて、「自ら納得して和解を成立させた」、「審尋期日に自ら出頭して」「和解を成立させた」ことから、意に反して和解を成立させるという不法行為を行ったとの事実は認められないと判断。
宮城氏が、プレカリアートユニオンにアルバイトとして雇用されていたという主張を前提として、プレカリアートユニオンに違法に懲戒解雇されたなどと主張していることについては、「録音反訳や計算シートへの入力の報酬として『行動費』を支払っていたとの事実は認められるものの、原告はこれらの作業を任意の日や時間に行っていたものであって、被告の指揮命令下でこれらの作業を行っていたとは認められないこと、源泉徴収等はされておらず、『行動費』が賃金として支払われたと認めるに足りる客観的な証拠は存しないことなどからすると、『行動費』は準委任契約に基づく報酬(手間賃)等として支払われていたと見るのが自然」、として「直ちに原告が被告のアルバイトとして雇用されていたということはできない。」「被告に違法に懲戒解雇されたとの原告の上記主張は、その前提を欠き、採用することができない」と判断しました。
宮城氏が東京高等裁判所に控訴していましたが、12月15日、東京高裁は、宮城氏の請求を棄却し、再びプレカリアートユニオンの勝利判決が言い渡されました。
組合活動の一部に行動費を支払ったことがあったとしても宮城氏とプレカリアートユニオンは雇用関係になかったことが認められ、プレカリアートユニオンが組合員のために雇用主と交渉を行うことが非弁行為ではないと認められました。
令和3年(ワ)第12587号 不法利益返還等請求事件
2022年5月24日、東京地方裁判所が、元組合員の宮城史門(前田史門)氏が、プレカリアートユニオンに対して拠出金の返還などを請求していた訴訟において、プレカリアートユニオン側の勝利判決を言い渡しました。原告の宮城氏の主張をすべて退け、「原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」とする判決です。代理人は、東京法律事務所の井上幸夫弁護士、平井康太弁護士です。
判決では、宮城氏が元雇用主であった2社との間で「意に反する内容の和解を成立させ」「精神的苦痛を与えた」と主張し、慰謝料を請求していることについて、「自ら納得して和解を成立させた」、「審尋期日に自ら出頭して」「和解を成立させた」ことから、意に反して和解を成立させるという不法行為を行ったとの事実は認められないと判断。
宮城氏が、プレカリアートユニオンにアルバイトとして雇用されていたという主張を前提として、プレカリアートユニオンに違法に懲戒解雇されたなどと主張していることについては、「録音反訳や計算シートへの入力の報酬として『行動費』を支払っていたとの事実は認められるものの、原告はこれらの作業を任意の日や時間に行っていたものであって、被告の指揮命令下でこれらの作業を行っていたとは認められないこと、源泉徴収等はされておらず、『行動費』が賃金として支払われたと認めるに足りる客観的な証拠は存しないことなどからすると、『行動費』は準委任契約に基づく報酬(手間賃)等として支払われていたと見るのが自然」、として「直ちに原告が被告のアルバイトとして雇用されていたということはできない。」「被告に違法に懲戒解雇されたとの原告の上記主張は、その前提を欠き、採用することができない」と判断しました。
その上で、プレカリアートユニオンが宮城氏を「DMUなる労働組合を結成して被告に対して分派活動を行ったことを理由として」、「1年間の権利停止の制裁を科すことを決定し、その旨を記載した本件書面を、被告の事務所入り口に約1ヶ月間掲示した」ことにより名誉を毀損し精神的苦痛を与えたと主張して慰謝料を請求していた件については、「権利停止の制裁を課したことを被告の組合員に告知するためにした、労働組合の組織運営に関する正当な行為にほかならず、不法行為を構成するものということはできない。」と判断しました。
さらに、宮城氏の元雇用主である2社との間で和解をした際に、プレカリアートユニオンが解決金から拠出金を得たことなどについて、宮城氏が弁護士法72条に違反するいわゆる非弁行為だと主張していることについて、「労働組合である被告が組合員のために組合員の雇用主と団体交渉等を行って和解を成立させることは、みだりに他人の法律事務に介入する行為ということはできないし、これによって組合員その他の関係者の利益を損ねたり、法律生活の公正かつ円滑な営みを妨げるものとはいえないから、弁護士法72条所定の『法律事務を取り扱』うことには当たらないものというべきであり、原告の上記主張は採用することができない。」、つまり非弁ではないと判断しました。
なお、宮城氏がプレカリアートユニオンは法適合組合ということはできないと主張していたことについては、宮城氏の上げる種々の事情を踏まえても、プレカリアートユニオンが組合員のために組合員の雇用主と団体交渉等を行って和解を成立させることが弁護士法72条所定の「法律事務を取り扱」うことには当たらないとの認定判断を左右するものとはいえないし、「原告の指摘する事情は、東京都労働委員会の資格審査により被告が法適合組合であると認定されているとの事実」に鑑みても、「法適合組合であることを否定するものとはいえず」、「いずれも採用することができない。」、つまり非弁ではないと判断しました。